名曲解説:アルビノーニのアダージョ(アダージョ ト短調)

名曲解説:アルビノーニのアダージョ(アダージョ ト短調)

ニャンチーニ教授

クラシックの名曲解説…
今回はアルビノーニのアダージョを紹介します!

クラーニャ

作曲家?の紹介

作曲家データ
名前トマゾ・アルビノーニ (Tomaso Albinoni)
誕生1671年6月8日(イタリア・ヴェネツィア)
死没1751年1月17日(イタリア・ヴェネツィア)
ジャンルバロック音楽
アルビノーニは生前、オペラ作曲家として有名だった。しかし、その作品はほとんど現存しておらず、現在では器楽曲の作曲家として知られている。

アルビノーニは裕福な貴族の家系に生まれたため、貴族に仕えて仕事をする必要がなかった。そのため彼の足取りは不明瞭なことが多い。

ニャンチーニ教授による解説

楽曲データ
曲名アダージョ ト短調(アルビノーニのアダージョ)
作曲者レモ・ジャゾット
作曲年
出版1958年
演奏時間約8分から10分
ジャンル室内楽曲

偽物の名曲

ニャンチーニ教授

アルビノーニのアダージョは、バロック期の作曲家トマゾ・アルビノーニの作品として、20世紀に発表された楽曲じゃ。のちに偽物と判明したけどな
偽作ってやつですね

クラーニャ

発表者はアルビノーニ研究の第一人者

ニャンチーニ教授

この曲を発表したのは、レモ・ジャゾットというイタリア人の音楽学者だったのじゃ。彼はアルビノーニ研究の第一人者で、アルビノーニの作品目録も彼が作ったぞ
レモ・ジャゾット
レモ・ジャゾット(1910年9月4日 – 1998年8月26日)はイタリア・ローマ出身の音楽学者。音楽誌の編集者や音楽番組の監督も務めた。

ジャゾットはアルビノーニの作品目録を作成した人物であり、アルビノーニ研究の第一人者だった。しかし彼を一躍有名にしたのはアルビノーニの作品として発表されたアダージョ ト短調と、その偽作騒動であった。
アルビノーニと深い係わりがあった人物なんですよね

クラーニャ

廃墟の図書館から発見された楽譜がベースに

空襲により破壊されたドレスデンの街並み

空襲により破壊されたドレスデンの街並み

ニャンチーニ教授

ジャゾットはある時、第2次世界大戦の空爆で破壊され、廃墟になった旧ザクセン国立図書館から楽譜の断片を見つけたのじゃ。それはアルビノーニが作曲したソナタ ト短調という曲だったのじゃ
よくそんな所から、楽譜を見つけられるな…

クラーニャ

アルビノーニの曲として発表された

ニャンチーニ教授

ジャゾットはその曲を持ち帰って編曲し、曲を完成させたのじゃ。その曲はアダージョ ト短調と名前が付けられたぞ。これがアルビノーニのアダージョじゃな。ちなみに体裁として、アルビノーニの作曲で、編曲者がジャゾットになっておったぞ
あくまで自分は編曲しただけって立場をとったんですね

クラーニャ

映画に使われ有名に

ニャンチーニ教授

アルビノーニのアダージョは1960年代に公開された映画『審判』に使われたのじゃ。映画の大ヒットと共に、この曲もすごく有名になったぞ
よくあるパターンですね

クラーニャ

バロックブームも追い風になった

ニャンチーニ教授

それに当時は空前のバロック音楽ブームだったのじゃ。イ・ムジチ合奏団がヴィバルディの四季を録音して、爆発的な人気を博した頃じゃな。レコードが日本でもすごく売れたな
クラシックのレコードとしては、唯一のミリオンセラーを記録したんですよね

クラーニャ

あのカラヤンも取り上げたほど

ニャンチーニ教授

アルビノーニのアダージョは、忘れ去られた作曲家アルビノーニの再発見として、当時すごく持てはやされたようじゃ。なんたって、あのカラヤンも取り上げたほどじゃからな
カラヤンの演奏盤はすごく人気がありますよね

クラーニャ

疑念を抱いていた研究者たち

ニャンチーニ教授

ただ研究者たちは疑問に思っていたのじゃ。「アダージョ ト短調の原曲の作者は、本当にアルビノーニなのか?」とな。そもそもジャゾットは自分が発見したソナタ ト短調の楽譜を公表していなかったのじゃよ
それは疑われて当然ですよねー

クラーニャ

調べても原曲は発見されず

ニャンチーニ教授

研究者達はアダージョ ト短調の原曲を調査するため、図書館の目録を調べたのじゃ。しかし、そこにアルビノーニのソナタ ト短調はなかったのじゃな
Oh…

クラーニャ

偽作説が優勢になった

ニャンチーニ教授

議論は続いているものの、アルビノーニのアダージョはジャゾットのオリジナル作品と認識されておる。アルビノーニの要素が、含まれていないわけではないようじゃがのう
ジャゾットも亡くなっているし、真相は永遠に謎ですね

クラーニャ

ジャゾットが死の数年前に言った言葉は

ニャンチーニ教授

ちなみに、ジャゾットは亡くなる数年前に、こんなことを言ったようじゃよ

「私は、アルビノーニを忘却の淵から救いたかった。アルビノーニが書いた音楽を実際に聴けば、彼への関心が高まるだろうと思い、この曲を作りました。それは、私自身の純粋な楽しみでもあったのです…」

ん?似たような事例を知っているような…

クラーニャ

アルビノーニを人気作曲家にしたかったジャゾット

ニャンチーニ教授

ジャゾットはアルビノーニを再度、人気の作曲家にしたかったようじゃな。だからアルビノーニのアダージョを発表したと。ところで、似たような経緯で有名になった作曲家がいるけど、知っているかな?
もしかしてヴィバルディですか?

クラーニャ

ヴィバルディという前例があった

ニャンチーニ教授

そうじゃ。ヴィバルディはバロック時代には有名だったのじゃが、その後は忘れ去られておった。再度注目されるきっかけになったのが、フリッツ・クライスラーがヴィバルディの作品として発表したヴィバルディの様式による協奏曲じゃな
偽作と判明している曲ですよね

クラーニャ

偽作がきっかけで再評価されたヴィバルディ

ニャンチーニ教授

フリッツ・クライスラーは偽作を大量に作曲して発表したのじゃ。1935年に発覚して騒動になったがのう。ただ結果として、それまで注目を浴びることがなかった作曲家が、見直されるようになったのじゃ。その代表がヴィバルディなんじゃな
クライスラーはヴィバルディを有名にしようとは考えていなかったみたいだけど、結果としてヴィバルディは人気作曲家になりましたからね

クラーニャ

アルビノーニを第2のヴィバルディに

ニャンチーニ教授

アルビノーニのアダージョが作曲されたのは、クライスラーの偽作騒動から20年以上後じゃな。ジャゾットはアルビノーニを第2のヴィバルディにしたかったんじゃないかのう?そう考えれば、偽作の発表は合理的ともいえるな
ジャゾットはヴィバルディの評伝も執筆しているし、そう考えてもおかしくはないですよね

クラーニャ

結果として…

ニャンチーニ教授

ジャゾットの願いは叶ったのか、アルビノーニはオーボエ協奏曲の作曲家として人気になっておる。まあヴィバルディほどではないがな。アルビノーニ真の代表作は別のページで解説しておるぞ
ジャゾットの作戦は成功したのかな?

クラーニャ

偽作とはいえ名曲であることに変わりはなく

ニャンチーニ教授

偽物とはいえこの曲が名曲であることに変わりはないな。暗くすこし陰を帯びた曲調は葬式と相性がよく、欧米では葬式にいる楽曲として人気があるぞ
バロックの様式をちゃんと取り入れているし、しかっりとした名曲ですよね

クラーニャ