名曲解説:ヴィターリの《シャコンヌ ト短調》

名曲解説:ヴィターリの《シャコンヌ ト短調》

ニャンチーニ教授

クラシックの名曲解説…
今回はトマソ・アントニオ・ヴィターリシャコンヌ ト短調を紹介します!

クラーニャ

作曲家の紹介

作曲家データ
名前トマソ・アントニオ・ヴィターリ
誕生1663年3月7日(イタリア・ボローニャ?)
死没1745年5月9日(イタリア・モデナ)
ジャンルバロック音楽
ヴィターリはバロック時代に活躍した作曲家。

父のジョバンニ・バティスタ・ヴィターリも有名な音楽家。父と共にエステ家の宮廷に仕え、宮廷楽長をつとめた。

作品はすべてが器楽曲で、作風は父やコレッリに影響を受けているといわれている。

ニャンチーニ教授による解説

楽曲データ
曲名シャコンヌ ト短調(ヴィターリのシャコンヌ)
作曲者トマソ・アントニオ・ヴィターリ
作曲
演奏時間約11分
ジャンルバイオリン曲

シャコンヌ ト短調ヴィターリが作曲したとされるバイオリン曲

ニャンチーニ教授

シャコンヌ ト短調ヴィターリが作曲したとされているバイオリン曲じゃ。ただ色々といわくつきの曲でのう。いつどんな目的で作曲されたかわかっておらん。そもそもヴィターリの作品であるかも謎なんじゃな
偽作の可能性があるってことですね

クラーニャ

19世紀のバイオリニスト、フェルディナンド・ダヴィッドが編曲し有名に

ニャンチーニ教授

シャコンヌ ト短調が世に出たのは、ヴィターリが生きた時代から1世紀弱過ぎた19世紀のことじゃ。バイオリニストのフェルディナンド・ダヴィッドが、世に知られていなかったシャコンヌ ト短調を編曲し発表したことによって、この曲は広く知られるようになったのじゃ
典型的な偽作のパターンだ!

クラーニャ

ダヴィッドってどんな人物?

フェルディナンド・ダヴィッド

人物データ
名前フェルディナンド・ダヴィッド (Ferdinand David)
誕生1810年1月20日(ドイツ・ハンブルク)
死没1873年7月19日(スイス・クロスタース)
職業バイオリニスト、作曲家

フェルディナンド・ダヴィッドはドイツ系のユダヤ人で、有名なバイオリニストだった。

フェリックス・メンデルスゾーンが自身の名作バイオリン協奏曲ホ短調の初演をダヴィッドに頼んだのは有名な話である。

ただ、ダヴィッドメンデルスゾーンは同じアパートで生まれた幼馴染であり、家族ぐるみの付き合いをしていた。これも大いに関係している。

しかしダヴィッドが参考にしたのはヴィターリのものか分からない謎の楽譜

ニャンチーニ教授

ダヴィッドが編曲の際に参考にした楽譜は、ヴィターリが直接書いたものではないのじゃ。シャコンヌ ト短調が偽作ではないかと疑われる理由がこれじゃな
そりゃそうだ

クラーニャ

この楽譜はリンドラーという人物が写譜したものと判明している

ニャンチーニ教授

ダヴィッドシャコンヌ ト短調を編曲した際に参照した楽譜じゃが、これはジェイコブ・リンドナーという18世紀前半にドレスデン活動していた写譜家が書いたものと判明しておる
もしかして、そのジェイコブ・リンドナーが真の作曲家!?

クラーニャ

曲調的にはヴィターリが作曲した可能性が高い

ニャンチーニ教授

じゃが曲調の研究によると、シャコンヌ ト短調ヴィターリの作品の特徴を持っているようじゃ。まあ、この曲以外に現在演奏されているヴィターリの作品はないから、ワシらは調べることができないのじゃがな
うーん、真実はどうなんだろう…

クラーニャ

現在ではさらに編曲されたシャルリエ版が主流に

ニャンチーニ教授

現在主流となっている版は、ダヴィッドが編曲したシャコンヌ ト短調を、フランスの音楽学者レオポルド・シャルリエがさらに編曲したものじゃ。ダヴィッド版はバロック音楽の悪く言えば「地味」な部分が残っておるが、シャルリエ版では最早バロック時代の曲とは思えない華やかな作品になっておる
ロマン派の曲っぽいなって思っていましたけど、そういうことだったんですね

クラーニャ