名曲解説:ファリャの《火祭りの踊り》

ニャンチーニ教授

このページではファリャの『火祭りの踊り』を解説していくぞ

『火祭りの踊り』について学ぼう!

『火祭りの踊り』はマヌエル・デ・ファリャが作曲したバレエ『恋は魔術師』の中の一曲です。

『恋は魔術師』はスペイン南部アンダルシアの民族音楽フラメンコと、オーケストラを融合させたバレエ音楽。

この劇中のクライマックス、悪霊(亡霊)払いの場面で演奏されるのが『火祭りの踊り(リチュアル・ファイヤー・ダンス、リチュアル・ダンス)』です。

こちらはバレエ『恋は魔術師』で踊られる『火祭りの踊り』のシーンです。

Ballet Alhambra "Danza ritual del Fuego" de Manuel de Falla

ジプシーの娘カンデーラはカルメロという恋人がいるが、彼女の以前の恋人であった浮気男の亡霊に悩まされていた。そこで彼女は友人の美しいジプシー娘に協力してもらい、除霊の儀式「火祭りの踊り」を行った。

浮気男の亡霊は美しい娘に誘惑され、一緒に踊りだす。そして踊りが最高潮に達すると、亡霊は焚き火の中に吸い込まれ、そのまま消滅してしまった。

恋は魔術師 – あらすじ

へぇー、こういう場面で演奏される曲なんですね

クラーニャ

ジプシーはヨーロッパを移動しながら生活している民族です。北インドから移動してきた民族のため、見た目はインド人に似ています。

ジプシーは移動生活の中で、様々な国の音楽に影響を与え、与えられて生きてきました。スペインもその影響を受けた国の一つです。特にスペインの民族舞踏フラメンコは、ジプシーに影響され生まれたといわれています。

そしてアンダルシア地方はフラメンコ発祥の地。フラメンコと、アンダルシアの少数民族ジプシーたちの暮らしを取り入れたこの曲は、スペインひいてはアンダルシア地方の音楽を象徴している作品と言えるでしょう。

アンダルシアのダンス(Baile Andaluz)

アンダルシアのダンス(Baile Andaluz)

この曲がスペイン・アンダルシア地方の伝統を取り入れた作品ってことはわかりました。でもなんでファリャはアンダルシア地方にこだわったんですか?

クラーニャ

ニャンチーニ教授

それはな、ファリャの出自に関係があるのじゃ

ファリャの生まれはスペイン・アンダルシア地方の港町カディス。ファリャは幼いころ母親からピアノを教えてもらい、マドリードの音楽院に入学します。その後ピアノ部門で一等賞を得た後、パリに留学。著名な音楽家たちの指導を受け、当時の最先端の作曲技法を学びました。

ファリャが活躍した19~20世紀のヨーロッパといえば、大物作曲家たちがスペインを題材にした作品を発表して成功を収めた時代。ラヴェルの『ボレロ』や『亡き王女のためのパバーヌ』、グラナドスのピアノ曲、ドビュッシーの『グラナダの夕べ』などが有名です。

ファリャもこの流れの中で独自のテーマでスペイン音楽を題材にした作品の作曲を試みていました。しかしなかなか糸口は見つかりませんでした。

カディス

カディス(出典:wikipedia

そんな中、一人の女性がファリャの前に現れます。彼女の名はパストーラ・インペリオ。著名なジプシーのダンサーで、フラメンコの第一人者でした。彼女からバレエ音楽の依頼を受け、ファリャは故郷アンダルシア地方の伝統音楽フラメンコと、それを奏でるジプシーたちをモチーフにして楽曲を作ることを決めます。そして出来上がったのが『恋は魔術師』です。

一人の女性がきっかけになり、ファリャは故郷アンダルシアの伝統を元にした念願の作品を完成させたのでした。

パストーラ・インペリオ

パストーラ・インペリオ

インペリオがきっかけを与えてくれたんですね

クラーニャ

ニャンチーニ教授

この出会いがなかったら、名曲は生まれなかったのじゃな

バレエ曲として作曲されたこの曲は、通常オーケストラによって演奏されます。ただ、ファリャはこの曲のピアノ独奏版も残しました。現在では、どちらかといえばピアノ編曲版のほうが人気があるかもしれません。

うわー、難しそう…

クラーニャ

ニャンチーニ教授

フィギュアスケートの浅田真央ちゃんが演技で使った曲は、こっちのピアノ版じゃな