名曲解説:タルティーニの《悪魔のトリル》

タルティーニの夢の中に現れた悪魔

《悪魔のトリル》はジュゼッペ・タルティーニが1740年代後半(50歳代半ば)に作曲したバイオリンソナタです。

タルティーニはバイオリン曲ばかりを作曲したバロック期の音楽家。《悪魔のトリル》はそんな彼の代表作です。

この曲は今日のバイオリン演奏技術をもってしても演奏が困難な難曲と知られています。

名前からして難しそうですもんね…

クラーニャ

タイトルだけ聞くとおどろおどろしい曲に見えてしまうかもしれませんが、実際にはそんなに怖い曲ではありません。

ニャンチーニ教授

曲中に悪魔が出てくるわけではないからな

作曲の経緯

《悪魔のトリル》はタルティーニが見た「とある夢」がきっかけで作曲されました。

1713年のある夜、タルティーニは夢の中で悪魔と魂を引き換えに契約を交わした。

その悪魔は私の望みを理解しており、私からバイオリンを受け取ると素晴らしいソナタを演奏し始めた。

その演奏はこの世のものとは思えぬ美しさで私を魅了した。

夢から覚めた私は、起きてすぐに悪魔が奏でたメロディをバイオリンで再現しようとした。

この出来事により作曲したバイオリンソナタを私は『悪魔のトリル』と名付けた。

この夢のエピソードはフランスの天文学者ジェローム・ラランドが1769年に記したイタリア旅行記の中に載っています。その中でタルティーニは、インタビューという形でこのエピソードを語っています。

まあこのエピソードをまともに信じる人はいないですよね…

クラーニャ

なお、このエピソードには《悪魔のトリル》の作曲年が1713年(21歳)頃と記載されていますが、現在では研究が進み1740年代後半に作曲されたとの説が有力になっています。

どうやら作風の変遷を研究した結果、作曲年代を特定したようです。

ニャンチーニ教授

なにせほとんど資料が残っておらんからな。推測するしかないのじゃよ

曲名の由来・意味

《悪魔のトリル》という曲名は、先ほど紹介した夢のエピソードが由来になっています。

ちなみにトリルとは、ある音とその2度上の音を速く反復させて弾く奏法のことです。音が揺れているように聞こえるのが特徴です。

悪魔が夢の中で教えてくれたメロディーは、トリルを使ったメロディーだったってことですね

クラーニャ

曲の視聴

では演奏を聴いてみましょう。

名前の由来にもなっている夢の中で悪魔が教えてくれた《悪魔のトリル》の部分は第3楽章に登場します。

Tartini Violin Sonata in G minor ''Devil's Trill Sonata''

ニャンチーニ教授

特に12分50秒以降が圧巻じゃのう