名曲解説:シベリウスの《フィンランディア》

ニャンチーニ教授

《フィンランディア》はジャン・シベリウスが作曲した交響詩じゃ。フィンランドの独立を後押しした曲として知らておるな

作品の概要

ジャン・シベリウスはフィンランドを代表するロマン派の作曲家。「フィンランドで最も偉大な人物ランキング」で8位にランクインするほど国民に愛されている人物です。

ニャンチーニ教授

ちなみに1位は英雄カール・グスタフ・マンネルヘイム、2位は政治家の鑑リスト・リュティじゃ

作曲したジャンルは幅広く、交響曲やバイオリン協奏曲、それにフィンランドの伝承に基づいた交響詩やピアノ曲が知られています。

交響詩《フィンランディア》はそんな彼の代表作。フィンランドがまだロシアの支配下にあった時代に作曲されました。

この曲は当時のフィンランド国民の民族意識を高め、国家の独立へ導いたきっかけの一つになったと云われています。

音楽の力ってすごいですね!

クラーニャ

作曲の経緯

《フィンランディア》が作曲されたのは1899年。当時のフィンランドは帝政ロシアの支配下にあり、圧政に苦しんでいました。そしてフィンランド国民は独立を望んでおり、各地では独立運動が起こっていました。もちろんロシアはそれを弾圧しました。

そんな状況を見たフィンランドの新聞社が、フィンランド人の民族意識をたかめるため、フィンランドの歴史をもとにした劇の開催を計画します。

劇で使用する伴奏音楽は、当時すでに名の知れた作曲家だったシベリウスに依頼されました。

そしてシベリウスは依頼にもとづいて8曲の管弦楽曲を作曲します。それらは《フィンランドは目覚める》と命名されました。

《フィンランディア》はその中の最終曲が原型となっています。のちに少し手を加えられ、独立した一つの曲として出版されました。

ニャンチーニ教授

じゃからこの曲はフィンランド国民にとって特別な曲なのじゃよ

新しい国、フィンランドの歴史

フィンランドという国ができたのは、実は最近のことです。それ以前は独立国ではなく、常にどこかの国の支配下にありました。

フィンランドの歴史は大まかに4つに分けられます。先史時代(~1155年)、スウェーデン時代(1155年~1809年)、ロシア時代(1809年~1917年)、独立後の現代です。

先史時代、フィンランドには全土を統治する政府が存在しませんでした。それぞれの民族が国を作らずに生活しているだけです。

1155年になるとスウェーデンが北方十字軍という名目でフィンランドの支配を始めます。全土の支配には100年以上かかりましたが、これによりフィンランドはスウェーデンの領土となりました。これがスウェーデン時代と呼ばれます。

時がたち1808年、ロシアとスウェーデンとの間で「フィンランド戦争」が勃発します。この戦争はロシアの勝利で終わり、フィンランドはロシアが支配することとなります。これがロシア時代です。

ロシア時代の間、フィンランドはフィンランド大公国という国になりましたが、元首はロシア皇帝が兼任していたので独立国ではありませんでした。

1917年になりロシアでロシア革命が起こります。フィンランドはこの混乱に乗じて独立を宣言しました。ただこの時独立したフィンランドは共産主義の国です。民主主義の国になったのは「フィンランド内戦」が終結した1919年からです。

その後もロシアとの仲は険悪で、「冬戦争」と呼ばれる戦争が起こったり、ソ連に対抗する為に第2次世界大戦に枢軸国側として参戦したり、紆余曲折を経て現在にいたります。

国ができてから100年とちょっとしか経ってないのかー。確かに若い国ですね

クラーニャ

名前の由来・意味

《フィンランディア》は日本語に直訳すると《フィンランド頌歌(しょうか)》。意味は「フィンランドを讃える歌」といった感じです。

ロシアの支配下でこのようなナショナリズムを煽るような題名の曲を作ったのですから、当然ロシアは反発します。

当然のごとく、《フィンランディア》は発表後すぐに発禁処分となり、演奏を禁じられました。

そのためこの曲は《フィンランドの春の目覚めの幸せ》や、《スカンジナビア合唱行進曲》というニセのタイトルが付けられ、隠れて演奏が続けられました。

ニャンチーニ教授

紹介したタイトル以外にも、様々なニセのタイトルが使われていたようじゃ

曲の視聴

では演奏を聴いてみましょう。

この曲は「苦難」に始まり、「闘争」を経て、「勝利」に終わります。これはフィンランドの歴史をあらわしています。

先程解説したようにフィンランドの歴史は苦難の連続でした。民族独立はフィンランド人の悲願。その思いがこの曲に秘められています。

《フィンランディア》一番の見せ場は、後半に出てくる賛歌風のメロディーです。このメロディーは合唱用に編曲され歌詞も付けられ《フィンランディア賛歌》という独立した曲になっています。

Jean Sibelius, Finlandia performed by Royal Liverpool Philharmonic Orchestra and Vasily Petrenko

曲の意味を知ると、より深く曲を理解できるようになりますね

クラーニャ

関連曲

フィンランドは独立後の1939年と1941年に、ロシアと2回戦争を経験しました。「冬戦争」、「継続戦争」と呼ばれている戦争です。

シベリウスはこの国家の危機に際して、独立の時と同じように音楽でフィンランド国民を奮い立たせようと考えました。

そして作曲されたのが《フィンランディア賛歌》。《フィンランディア》に歌詞が付けられた合唱曲です。

この曲は現在にいたるまでフィンランド国民の愛国歌として歌い続けられています。

Finlandia-hymni Senaatintorilla 8.12.2015