名曲解説:ベートーベンのピアノソナタ第8番『悲愴』

このページではベートーベンのピアノソナタ第8番『悲愴』を解説していきます!

クラーニャ

ピアノソナタ第8番『悲愴』について学ぼう!

Beethoven Sonata No. 8 in C minor Op. 13 "Pathétique" Live – Lisitsa

ピアノソナタ第8番『悲愴』はベートーベンが1798年から1799年(27から28歳)にかけて作曲したピアノソナタです。

『悲愴』はベートーベンの作品の中で、初めて大ヒットした曲として知られています。『悲愴』の作品番号は「Op.13」。つまり13番目に出版されたという意味です。ベートーベンは最終的に「Op.138」まで出版しているので、かなり初期の作品であることがわかるでしょう。

ニャンチーニ教授

この作品のヒットによって、ベートーベンの名が世間に認知されるようになったのじゃよ

ベートーベンは作品に題名をつけることをあまり好みませんでした。有名な『月光』、『熱情(アパショナータ)』などの題名はベートーベンが亡くなった後に他人がつけたものです。

しかし、この『悲愴』に限っては例外で、初めて楽譜が出版された当時からこの名前が付けられていました。ベートーベン自身が考えたものかは判明していませんが、少なくともこの題名を付けることをベートーベンが了承したことは確かといわれています。

これは非常に珍しいことで、ピアノソナタに限って言えば、ほかに『告別』しか例がありません。

他人が付けたタイトルでも曲の内容をよくあらわしていますよね

クラーニャ

「悲愴」という言葉、これは「深い悲しみ」という意味で使われます。

ベートーベンが重度の難聴で耳がほとんど聞こえなかったのは有名な話ですが、『悲愴』が作曲された時期は、ちょうどベートーベンが難聴を自覚し始めたころでした。この悪化する難聴が『悲愴』の作曲に関係していると考えられています。

つまり、この曲の「深い悲しみ」とは「音楽家の命である聴力が、失われていくことにたいする苦悩や悲しみ」といえるでしょう。

しかし、曲の解釈は人それぞれです。この曲を「若さゆえの悲しみや苦悩をあらわした曲」という人もいます。事実この曲を作曲した当時、ベートーベンはまだ20代でした。それに当時のベートーベンは、難聴が悪化して最終的に耳が聞こえなくなるとは思っていなかったでしょう。

また、この曲は「人生に襲い掛かる悲しみ」を表現しているという人もいます。第1楽章の「急」、第2楽章の「緩」、第3楽章の「急」、が人生で出会う悲しみと、感情の起伏を表現しているというのです。

ベートーベンはこの曲の題名について何も言及していません。真実は永遠にわからないのです。

正解は分からないですけど、それを考えるのも楽しみですよね

クラーニャ

『悲愴』の聴きどころとなれば、やはり第2楽章です。悲しみというよりも、憂うようなメロディーが非常に心地よく奏でられます。このメロディーはベートーベンの作品の中でも、屈指の美しさを持っているといっても良いでしょう。

それに対して第1楽章は最初からかなり重く始まります。ですが全体を通して見れば、激しさのある悲しみを感じます。

第3楽章には第1楽章と同じように悲しみが漂っています。ですが、第1楽章と比べれば激しさは抑えられて、きらびやかさが加わっています。これが何を意味しているのかは、わかりませんが。

有名な第2楽章だけ聴くと『悲愴』の意味がわかりませんが、全曲を通して聴けば曲の意味がなんとなく理解できるかもしれません。

やっぱり『悲愴』といえば第2楽章ですよね

クラーニャ

ニャンチーニ教授

有名すぎるくらいに有名じゃからな。第2楽章の知名度はベートーベン全作品の中でもトップ5に入るくらいじゃろうな