名曲解説:ドビュッシーの《沈める寺》

このページではドビュッシーの『沈める寺』を解説していきます!

クラーニャ

『沈める寺』について学ぼう!

ピアノ曲『沈める寺』はクロード・ドビュッシーが47歳の時に作曲した前奏曲集第1巻の第10曲です。演奏時間は約6分とドビュッシーの前奏曲の中では長め。24曲つくられた前奏曲の中で人気では『亜麻色の髪の乙女』に劣りますが、芸術性では『沈める寺』が抜きんでています。

ニャンチーニ教授

知名度の『亜麻色の髪の乙女』、芸術性の『沈める寺』といったところじゃな

『沈める寺』は海の底に沈んでいた古い大聖堂が霧の中から浮かび上がり、また沈んでいく様を描写しています。

この大聖堂はフランス・ブルターニュ地方にあったとされる伝説の都市イスの大聖堂で、イスの街は悪い行いを続けた結果、海に沈められたと伝えられています。

伝説の内容は以下の通りです。

5世紀頃、ブルターニュのコルヌアイユという国に、グラドロンという王がいた。王にはダユーという美貌の一人娘がいてこれを溺愛していた。グラドロンは聖コランタンと出会ったのをきっかけにキリスト教に改宗し、国にキリスト教を広めていったが、ダユーはそのことを忌々しく思っていた。耐えかねたダユーはグラドロンに自分のための新都造営を懇願した。娘を溺愛するグラドロンはその願いを聞き入れ、海のそばにイスが建造されることになった。間もなく洪水から都を守るために水門も建造された。

イスの支配者となったダユーは、妖精の力を借りて海行く船から略奪を繰り返した。その富でイスはみるみる間に栄えたが、一方で人々は享楽に溺れ、背徳のはびこる都となっていった。事態を憂慮したコランタンは聖ゲノルにイスの人々を改悛させるよう要請するが、人々は誰もゲノルの言葉に耳を傾けようとしなかった。

イスにはダユーに求婚する貴公子が多く訪れた。ダユーは気に入った貴公子を誘惑しては一夜をともにしたが、飽きると殺して海に捨てていた。そんなある日、ダユーの前に赤ずくめの貴公子が現れる。彼は逆にダユーを巧みに誘惑し、イスを守る水門の鍵を奪い取った。赤い貴公子の正体は悪魔だった。悪魔により水門が開けられると洪水が押し寄せ、イスはダユーとともに水没してしまった。

水没したものの、今でもイスは海の底に地上にあった頃と変わらぬ姿で存在し、いつの日か復活してパリに引けを取らない姿を現すとも言われている。

イス(伝説都市)- wikipedia

娘を捨てよと王に求める聖ゲノル

娘ダユーを捨てよと王グラドロンに求める聖ゲノル

イスを沈めた悪魔は本当に悪魔だったのかな?もしかしたら神様の仕業では…

クラーニャ

ドビュッシーはあるときエルネスト・ルナン著の「幼児期と少年期の想いで」でブルターニュ地方に伝わるイスの伝説を読み、心を動かされたようです。それがこの曲の作曲に繋がりました。

ニャンチーニ教授

イスの街の大聖堂は海の底に沈んだ後も、人々への見せしめとして時々海から浮かび上がると言われておる。また、イスの街が沈んだ場所の近くに立つと、波間からかすかに大聖堂の鐘の音と僧侶の祈りが聴こえてくるそうじゃ