名曲解説:おもちゃの交響曲

名曲解説:おもちゃの交響曲

ニャンチーニ教授

クラシックの名曲解説…
今回はおもちゃの交響曲を紹介します!

クラーニャ

楽曲データ
曲名おもちゃの交響曲(Toy Symphony)
作曲者エトムント・アンゲラー(レオポルド・モーツァルト)
作曲年1770年頃
演奏時間約10分
ジャンル小交響曲

ニャンチーニ教授による解説

ニャンチーニ教授

おもちゃの交響曲がどんな曲か、簡単にわかりやすく解説していくぞ

作曲者が二転三転した名曲

ニャンチーニ教授

おもちゃの交響曲はオモチャの楽器を加えた小編成のオーケストラで演奏される規模の小さい交響曲じゃ。子供もオーケストラの演奏に参加できる珍しい作品じゃな
いい経験になりますよね。音楽教育に最適かな

クラーニャ

最初の作曲者候補はフランツ・ヨーゼフ・ハイドン

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

フランツ・ヨーゼフ・ハイドン

ニャンチーニ教授

この曲は18世紀からフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの作品として知られてきておった。しかし、ハイドンの書いた楽譜が存在せず、創作に関する資料も存在しなかったため、確証が得られていなかったのじゃ。

そもそもハイドンの作品にしては曲調がのどか過ぎ、当初から偽作と疑われていたようじゃ

たしかにハイドンが書いたとは思えないですよね…

クラーニャ

次の作曲者候補はハイドンの弟

ヨハン・ミヒャエル・ハイドン

ヨハン・ミヒャエル・ハイドン

ニャンチーニ教授

作曲者候補として次に名前があがったのがハイドンの弟ミヒャエル・ハイドンじゃ。ミヒャエルは兄と同じく作曲家として活動しておった。現在ではあまり知られていないが当時は有名だったのじゃ

しかし残念ながらミヒャエル・ハイドン説も、確かな証拠はなかったのじゃな

うーん、迷走していますね

クラーニャ

ミヒャエル・ハイドン
ミヒャエル・ハイドンはフランツ・ヨーゼフ・ハイドンの5歳下の弟。兄と同じく作曲家として活動していた。現在ではあまり知られていないが当時は有名で、モーツァルトの最後の交響曲第39番、第40番、第41番のモデルとなる交響曲を作曲したのはミヒャエルだった。

弟子には魔弾の射手で有名なカール・マリア・フォン・ウェーバーや、ベートーベンに33曲からなる変奏曲(ディアベリ変奏曲)の作曲を依頼したアントニオ・ディアベリがいる。

モーツァルト作曲説もあった

ニャンチーニ教授

一時期、モーツァルトが作曲者ではないかと推測されたこともあったのう。じゃがこれは一時的な説に終わっておる
モーツァルトってお茶目な曲をいくつか残しているし、一番信憑性が高そうですけどね

クラーニャ

そして名前があがったレオポルド・モーツァルト

レオポルト・モーツァルト

レオポルト・モーツァルト

ニャンチーニ教授

時は過ぎて1951年、『おもちゃの交響曲』に有力な作曲者候補が現れる。それがモーツァルトの父、レオポルト・モーツァルトじゃ。

1951年にバイエルン州立図書館でレオポルドが作曲した7曲のカッサシオン(晩餐会などのパーティで演奏する曲)が発見されたのじゃが、その中の一つがおもちゃの交響曲と同一の曲だったのじゃ

ついに拠物的証が見つかったんですね

クラーニャ

レオポルト・モーツァルト
レオポルト・モーツァルトはヴォルフガング・アマデウス・モーツァルトの実父。ザルツブルクの宮廷作曲家を務めており、いくつかの作品を遺しているが、そのほとんどは現在演奏されていない。

真打アンゲラーの登場

シュタムス修道院

シュタムス修道院

ニャンチーニ教授

ところが1992年にレオポルト・モーツァルト作曲説を覆す発見がされる。オーストリアのチロル地方シュタムス修道院の音楽蔵書の中からおもちゃの交響曲の楽譜が発見されたのじゃ。

それはシュテファン・パルセッリ神父が書いた写譜(書き写した楽譜)だったのじゃが、そこには神父のエトムント・アンゲラーが1770年ころに作曲したと記されておった

これでおもちゃの交響曲はエトムント・アンゲラー作曲説が有力になったんですね

クラーニャ

ニャンチーニ教授

実際のところは1960年代半ば頃からエトムント・アンゲラーは候補としてあがっておった。じゃが確たる証拠がなく、確信が得られなかったようじゃな
エトムント・アンゲラー
エトムント・アンゲラー(1740年5月24日 – 1794年8月7日)はオーストリア出身の作曲家。本業は神父。数多くの教会作品やオペレッタ、音楽劇を作曲したが、現在演奏されることはない。

長年の間、作曲者探しが続けられていた《おもちゃの交響曲》の作曲者として名前が挙がり、一躍有名になった。

使われているオモチャはすべてベルヒテスガーデンの特産品

ニャンチーニ教授

この曲の原題はBerchtolds-Gaden Musickじゃが、これは「ベルヒテスガーデンの玩具店製のおもちゃを使った音楽」といった意味の造語である。

シュタムス修道院で見つかった写本には、様々なオモチャが楽器として指定されておるが、それはすべてベルヒテスガーデンの玩具店で作られていたものじゃ

楽譜で指定された楽器
  • カッコウ笛
  • ウズラ笛
  • ラッパ
  • 太鼓
  • ガラガラ
  • 雌鳥の笛
  • トライアングル
まさか玩具屋とタイアップした宣伝曲なんじゃ…

クラーニャ

ベルヒテスガーデン
ベルヒテスガーデンはドイツのバイエルン州に属する人口8千人ほどの町。ドイツとオーストリアの国境近くに位置し、町の南には風光明媚なケーニヒ湖がある。

国境を挟んだ反対側はモーツァルトの生誕地として有名なザルツブルク。ベルヒテスガーデンはザルツブルクと同じく、塩の産地として有名だった。

ベルヒテスガーデンは現在でも木製玩具の生産地として知られ、現地に行けばお土産物として手に入れることができる。